ビニールハウスの建て方

農業用ビニールハウスの建て方のヒント

農家が使う大型のビニールハウスはそれほど難しいわけではありません。一人でも十分建てられます。
パイプと金具の組み合わせだけで出来ているので違うところには合わない構造です。セットで購入しない場合もパイプの径で必ず合う金具があります。異なった径の組み合わせがたくさんあります。最近はホームセンターにも取り揃えてあるところがあるので単品での購入も簡単に出来ます。

まずは畑の土質を見てみましょう。
パイプを差し込む深さは60センチ~1メートルほどです。ほとんどの場合手で押し込んでも刺さると思いますが畑によっては掘削が必要になる場合もあります。掘削といってもパイプが刺さる程度に専用の機械で穴を開けます。これはパイプの直径にあわせたアースドリルを使うといいでしょう。

すべての材料を取り揃えてから建てはじめます。
最初に取り掛かるのは位置決め 基準となる杭(垂木など)を打ち、水糸を4本張りましょう。幅、長さ、組み立てるハウスの基準になるので正確に張ります。水糸の高さは必要ありません、地面から少し上程度でOK

全体の位置が見えたら水糸に印をつけていきます。両側アーチパイプのスパンにあわせてマジックなどで記します。通常は50センチ間隔前後でしょう。50メートルのハウスなら片側101箇所の印がつきます。この印がアーチパイプの立つ場所です。

印が付いたらそこへアーチ型のパイプを立ち上げていきます。アースドリルで開けた穴に一本ずつ差し込んでいきましょう。この場合まっすぐ立てて問題ありませんが外側に向くようではあまり良くないです。
2人で立てる場合には先に真ん中をつないで両側を一度に立ち上げるやり方もあります。

両側のアーチパイプが立ち上がったら足場(脚立は危険なのでなるべく水平になるもの)を真ん中に用意して金具でつないでいきます。このとき楽にスルっと差し込める位置があるので気をつけましょう。力を入れて叩きいれるというものではありません。
これで全体の図が見えてきました。後は補強していく工程になります。

アーチが立ち上がっただけでまだぐらぐらです。最初の補強は真ん中の継ぎ目から始めます。アーチとアーチをつないだ金具に直管パイプを接続していきます。接続は専用の取付金具です。アーチのつなぎ金具と直管パイプの径に注意しましょう。アーチパイプの径ではありません。

直管パイプにはアーチを埋めた間隔と同じく印をつけておきます。また端に取付金具が付く場合は考慮して印をつけます。

端から順にアーチパイプの下に吊り下げるように直管パイプを取り付けていきます。すべてつないでもまだゆらゆらしますが大丈夫です。

次はハウスの肩に直管パイプを取り付けます。肩のパイプの取り付けは外側です。このときにアーチパイプの刺さり具合を調整します。アーチパイプを揺さぶりながら直管パイプにあわせます。刺さりすぎたり足りなかったりすると直管パイプが付きません、直管パイプをあわせるのではなくアーチパイプを合わせます。遠くから重なるように見てみましょう。高低は少しずつ調整します。

つづいて下側の直管パイプに取り掛かります。これはハウス内側に取り付けます。肩まで直管が取り付けられているので印の必要もなくあてがった状態で取り付けても大丈夫でしょう。

また、両サイドを直管パイプではなくビニペットで作る場合もあります。

ここまでくると固まってぐらぐらしなくなります。風の影響があまりないところではこれだけでも十分です。さらに補強するには筋交いの設置をしましょう。安心です。

筋交いは両端に取り付けます。ロングスパンのハウスでは真ん中も取り付ける場合もあります。筋交いをすることで相当の耐久力が増します。

小口はビニペットなどで作ります。ドアも軽量なものがいいでしょう。木造でもかまいません。細かくビニールが留められるようにしないと風に持っていかれます。少しの風の進入でも崩壊の危険がありますのできちんと作りましょう。

ビニールはサイドの下側から張ります。決まりはありませんが端は土の中に埋めるようにして、換気のためにめくったときの広さを考えて取り付けます。

いよいよビニールをかぶせます。サイドに巻き取り機をつける場合は巻きしろも考慮しましょう。いずれも少し長めのビニールを用意しすることをお勧めします。ビニールを注文するときは専門業者に採寸してもらうと間違いありません。末端は多めにプラスチックのパッカーで留めます。

ビニールを架け終わると最後に大切な仕事があります。スクリュー杭(スパイラル杭)の埋設とビニールひもの取り付けです。

スクリュー杭はアーチパイプ5~6本くらいにひとつ程度で打ち込んでいきます。地面にめり込むくらいのほうがいいです。あまりアーチから離さないで打ちます。打ち終わったら端から端までワイヤーを張ります。ワイヤーの代わりに直管パイプでも可能です。このワイヤーまたは直管パイプにビニールひもを縛りつけあちら側まで回します。反対側でしっかり引っ張りしっかり結びます。取り外しも考慮して結びましょう。アーチの間すべてにひもを回します。

これで完成です。

参考写真